無理をして会社に行くより、自分に合った働き方を探したほうがいいんじゃないか。
そう考えるようになったのが、「家で働く」ことを意識し始めたきっかけです。
通勤の疲れや人間関係のストレス、家族との時間との両立などは、誰もがぶつかる悩みではないでしょうか。こうした悩みは、働く場所を変えることで解決できることがあります。
家から出ないでお金を稼ぐには少し準備が必要ですが、自分のペースで仕事と暮らしを整えていける自由があります。
この記事では、私が在宅で働くようになった経緯と、実際にやってみて感じた続けられる働き方のつくり方を紹介します。
家から出ないで稼ぐようになった理由
朝から晩まで働いて、休日は寝るだけ。そんな日々が続き、ふと「私は何のために生きているんだろう」と思ったんです。
外で働くことが嫌いなわけじゃないけれど、仕事以外の悩みも多く、しっかり働いて余暇を楽しむことのハードルの高さに悩んでいました。まずは、私が家から出ない働き方を選んだ理由を少し書いてみます。
何かに合わせて働くことに限界を感じた
自宅で働くことを考えたのは10代後半のころ。雇われていた時期は、朝出勤したら帰宅は深夜になることもありました。終業後に誰かと会うとか、遊びに行くなんて考えられないほどクタクタ。
出産後は出勤時間、お昼時間、お迎えの時間、子どもを寝かせる時間など、あらゆる時間に縛られていました。土日はあまりにも疲れて、家族との時間も車内で寝かせてもらったり、助手席で眠ったりすることも多かったです。
「このままじゃ身体を壊して働けなくなってしまう。そうなる前に、長く続けられる働き方へシフトしないと」と考えるようになりました。
外に出ること自体がストレスになった
出産後のパートはバイク通勤でした。炎天下でも雨でも走らなきゃいけない。生活のために働くしかなかったけれど、着替えや弁当、水筒など重い荷物を持って通勤するだけで、もうヘトヘトでした。
あるとき「もし家で働けたら、部屋着のままでもいいし、雨風を気にせずに済む」と気づいたんです。
外に出るたびに感じていた仕事前の疲れがなくなるだけで、気持ちにゆとりが生まれるような気がしました。
家庭と仕事の両立が難しかった
子どもの学校行事や家族の急な体調不良。家庭の都合があるときに、仕事を切り上げて対応するのは多くの場合、母親です。
また「母親=扶養内=時短勤務」という見方も根強く、「もっと働きたいだけなのに」と思っても、周囲の理解を得にくい場面がありました。
家で働くことができれば、そうした予定変更にも柔軟に対応できます。家族の生活リズムに自分の働き方を合わせられるのは、在宅の大きな強みでした。
自分の空間・ペースで働きたかった
子どものころから過ごす空間にはこだわりがあり、自分が選んだものに囲まれて仕事をしたいと思っていました。
オフィスでは、そうした選択や環境づくりはなかなか難しいですよね。逆に、仕事に必要なものが家にあれば、家から出ないで働けるだろうと考えました。
私は仕事がしたいから、求められることをきちんとこなせれば、家で働いてもいいのでは?と思って25年前、上司にフルリモート勤務を提案したこともあります。(当然却下でした)
家から出ないで稼ぐ方法
在宅でできる仕事は想像以上に多様です。パソコンを使う仕事から、手を動かす仕事、人と関わる仕事まで、自宅にいながらできる働き方をいくつかのタイプに分けて紹介します。
IT・Web系
パソコンを使う仕事が中心で、スキルを磨きながら長く続けやすいジャンルです。
- Webライター・コピーライター
- データ入力・文字起こし
- Webデザイン・コーディング
- プログラマー・システムエンジニア
- SEO・SNS運用・サイト管理
やり取りはチャットやメールが多く、比較的一人で進めやすい仕事が多い印象です。
ただし、案件やクライアントによっては、定期的にZoomなどで打ち合わせをする場合もあります。
クリエイター系
感性や表現力を活かす仕事で、依頼内容によって働き方が大きく変わるようです。
- イラストレーター
- 動画編集・映像制作
- DTP・グラフィックデザイン
- 写真撮影・画像加工
- 作曲・ナレーション制作
初回の打ち合わせでZoomを使うこともあるようですが、その後はチャットで修正依頼を受けるなど、落ち着いて作業できる時間が多い印象です。
サロン・教室系
自宅やオンラインで人に教える仕事。
「人と関わりながら働きたい人」に向いているといわれています。
- オンライン講師
- カウンセラー・コーチング
- 家庭教師・個別指導
- 趣味講座・ハンドメイド教室
Zoomやビデオ通話などを使って直接会話することが多く、人との交流を楽しめるタイプに向いている傾向があります。動画コンテンツの配信のみで活動する人もいるようです。
販売系
自分のペースで在庫や発送を管理できる仕事ですね。自宅で完結しやすい働き方として人気があるようです。
- ネットショップ運営:BASE・Shopifyなど
- ハンドメイド販売:minne・Creemaなど
- フリマアプリ販売:メルカリ・ラクマなど
- デジタルコンテンツ販売:note・Kindleなど
購入者との連絡はメッセージやメールが中心で、対面のやり取りはほぼありません。商品ページの作成やSNS発信など、情報発信の工夫が必要になることも多いようです。
営業・事務系
企業やクライアントをオンラインで支える仕事です。在宅派遣や業務委託など、組織に属しながら働く形も見られます。
- カスタマーサポート・コールセンター
- テレアポ・営業代行
- オンライン秘書・アシスタント
- 経理・データ管理・バックオフィス業務
- 人事・採用サポート
電話やZoomでの会議が入ることも多く、人とのコミュニケーション頻度は比較的高めといわれます。社内チャットなどでチーム作業を行う場合もあり、「在宅でも誰かと連携したい人」に合いやすい働き方です。
どの仕事にも人との関わり方に違いがあります。「一人で集中したい」か、「誰かと協力しながら働きたい」かを考えるだけでも、仕事選びの方向が見えやすくなります。
フルリモートの働き方の種類と特徴
在宅ワークと一口に言っても、契約の形によって働き方はかなり違います。ここでは主な3つの形を整理しておきます。
派遣契約
派遣会社に登録して、企業からの業務を在宅で行う働き方です。雇用契約は派遣会社と結び、勤務先は別の企業になります。
- 業務内容と勤務時間が決まっていて安定しやすい
- サポート担当がつくこともあり安心感がある
- 一方で裁量が少なく、決められた範囲で動くことが多い
- 報告や打ち合わせにWeb会議を使うケースがある
在宅派遣は「完全な自由より、安心を重視したい人」に向きやすいようです。
雇用契約
企業に直接雇用されて、自宅で働く新しい働き方です。コロナ以降、リモート勤務を導入する会社が増えました。
- 給与や保険など待遇が安定している
- 指示はチャットやZoomで受けることが多い
- 勤務時間をシステムで管理する企業が多い
- 上司への報告や確認作業は一定残る
生活を大切にしながら働きたい人に選ばれやすい働き方ですね。
業務委託契約
企業や個人から業務単位で請け負う契約形態です。成果物に対して報酬を受け取る請負契約と、労働量に対して報酬を受け取る準委任契約があります。
- 納期に合わせて自分のペースで働ける
- 報酬は案件ごとに変動する
- 経費などお金の管理が必要
- 長期案件はチームに近い形で関わることもある
私はこの形で働いています。自由度が高いぶん、スケジュール管理や交渉もすべて自分次第です。
私がWebライターを選んだ理由
いくつかの働き方を調べたなかで、最初に現実的だと感じたのがWebライターでした。パソコンさえあれば始められて、学びながら報酬が得られる点が魅力だったからです。
パソコンがあればできた
ちょうど家にパソコンとネット環境があり、すぐに始められる環境が整っていました。
もともとは別の事業で請負を考えていたのですが、初期費用を用意できないことや、アパートでは作業スペースに限界があることなど、現実的な壁が多かったんです。
始めるなら、初期費用がほぼかからないものか、すでにある環境を活かすしかありませんでした。
WebライターはパソコンとOfficeがあればすぐに取りかかれる仕事で、パートから転身しやすいハードルの低さが魅力でした。
未経験でも仕事がたくさんあった
最初にライティングの仕事を受注したのは個人ブロガーさんでした。その後はクラウドソーシングを利用して受注していました。
当時は今よりも「未経験OK」の案件が多かった印象です。文字単価は0.5円程度の案件が中心で、1円を超えるものは少なかったように思います。
それでも、経験を積むうちに依頼の内容が深まり、継続することで報酬も少しずつ上がっていきました。
すでにある知識が使えた
ライティング案件のテーマには、これまでの仕事や生活で得た知識を活かせるものが多くあります。
自分がすでにもっている経験が記事に変わるのは、大きな強みになると感じました。経験のないジャンルでも、案件を通して学んだことが次に活かせる。継続するほど知識が深まり、仕事の幅も広がっていくのがWebライターの面白さです。
仕事で使ったものが経費になるから
フリーランスとして自宅で働く場合、仕事で使うパソコンや書籍、通信費などは経費として計上できます。家族と共有しているものがあれば按分が必要ですが、仕事で使ったぶんを経費にできるのは大きなメリットです。働く環境を自分の裁量で整えられるようになったのは、在宅で働くようになって感じた変化のひとつでした。

自宅で働くための準備
自宅で働くには、少し準備をしておくだけで仕事がスムーズになります。ここでは、最低限そろえておきたいものと、意外と忘れがちなことをまとめました。
パソコンを用意する
自宅で長く働くつもりなら、パソコンは欠かせません。中古でも問題ありませんが、メモリは最低でも16GBほどあると快適です。モニターも2枚あると作業効率がぐっと上がります。
外で作業する機会があるならノート型、自宅を拠点にするならデスクトップ型など、働くスタイルに合わせて選びましょう。
私は部屋を移動して作業することがあるので、ノートパソコン派です。
働く空間を整える
作業環境にこだわる人は、チェアやデスクもできれば用意しておくと良いと思います。
在宅ワークは、集中とリラックスのバランスが大切です。作業机をひとつ決めて、照明の明るさや椅子の高さを調整するだけでも、集中力がまったく違います。
家族と生活空間を共有している場合は、作業時間をあらかじめ伝えておくと、お互いにストレスが減ります。
仕事用アカウントをもつ
仕事とプライベートを分けることは、自宅で働くうえで意外と重要です。
メールアドレスやチャットアカウントを分けておくと、気持ちの切り替えがしやすくなります。SNSを活用する仕事なら、発信用と日常用を分けて運用することでトラブルも防げます。
小さなことのようでいて、長く働くほどに効いてくる工夫です。
帳簿の付け方を学ぶ
仕事を続けるなら、収支の管理は避けて通れません。会計ソフトを使えば、専門知識がなくても簡単に記録できます。
最初から完璧を目指す必要はなく、まずは1か月の支出を見える化することから始めてみましょう。のちに確定申告が必要になっても、落ち着いて対応できるはずです。
必要に応じて開業届を出す
個人で継続的に仕事を請けるようになったら、税務署に開業届を出すことを検討してみてください。
必ずしも義務ではありませんが、青色申告を利用できるようになるなどのメリットがあります。
いきなりフリーランスになるのではなく、こうした知識を持っておくだけでも、選べる働き方の幅が広がります。
むしろ在宅派遣など、安心して自宅で働ける形を選んでいる人ほど、「いざというとき自宅で仕事ができる」という選択肢を持っておくと気持ちにも余裕が生まれます。
小さな整え方ひとつで、仕事の続けやすさは大きく変わると感じています。
家から出ないで稼ぐには準備が大切
「家から出ないでお金を稼ぐ」と聞くと、少し前までは怪しい仕事のように思われることもありました。けれど今は、フリーランスやリモートワークの認知が広がり、働き方の選択肢として受け入れられるようになっています。
ただ、自宅でフリーランスとして働くには、環境を整える準備が大切です。
準備とは、パソコンや机をそろえることだけではありません。在宅ワークで収入を得るには、自分の裁量で動く力が求められます。時間の使い方や気持ちの切り替え、生活との線引きを整えておかないと、思い描いた働き方とは違う結果になることもあります。
いきなりフリーランスになるよりも、在宅派遣などで安定収入を得ながら、少しずつ今の自分に合う働き方を見つけていくのも一つの方法です。働き方の選択肢を知っておくだけでも、安心して続けられる在宅ワークが見えてきます。まずは準備を整えて、自分に合った働き方を見つけてみてください。
