フリーランスのリスキリング支援は?補助金や制度に頼らない学び方

フリーランス向けのリスキリング支援ってあるの?
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「リスキリング」という言葉をよく聞くようになりました。でも、フリーランスにとって学び直しは簡単ではありません。

学ぶ時間を作れば収入が減るし、補助金や給付金も雇用保険や所得条件の壁で利用できないことが多い。

私も国の制度には該当せず、結局は自分のペースで学び続けるしかありませんでした。
この記事では、そんな制度の外側にいるフリーランスが、どんな現実にぶつかり、どう学びを続けていけるのかを整理します。

目次

フリーランスがリスキリングに取り組むのは難しい

フリーランスとして働いていると「学び直しをしたい」という気持ちはあっても、実際に行動に移すのは簡単ではありません。時間と収入、生活のバランスを崩さずに学ぶのは想像以上にむずかしいものです。

時間と収入のバランスをとるのがむずかしい

会社員なら業務の一部として研修やスキルアップの時間が確保されることもありますが、フリーランスにその余裕はありません。

学ぶ時間を作れば作業時間が減り、その分の収入も減ります。短期的な納期に追われながら、将来のための学びの時間を確保するのは現実的に難しい。

「いま目の前の仕事を優先するか、先のために時間を投資するか」といったジレンマは、多くのフリーランスが抱えている悩みです。

学習の優先順位をつけにくい

リスキリングといっても、学べる分野は広く、何をどこまで学べば仕事につながるのか見えにくいものです。

トレンドに合わせてスキルを更新する必要は感じても、それが自分の仕事にどう活かせるかがわからない。

結局「やらなきゃ」と思いながらも、明確なゴールを描けず、手が止まってしまうこともあります。

学びの方向性を定めること自体が、フリーランスにとってはひとつのスキルなのかもしれません。

学んでもすぐに収入につながるとは限らない

リスキリングは“未来への投資”ですが、短期的な利益を生むものではありません。

資格や新しいスキルを得ても、すぐに案件が増えるとは限らず、実務に結びつけるまで時間がかかります。とくにフリーランスの場合、学んだ内容をどう仕事に落とし込むかは自分で考えなければならない。

「学んだのに稼げない」というギャップに直面して、学びへの意欲がしぼんでしまう人も少なくありません。

利用できる支援制度がわかりにくい

国のリスキリング支援制度は増えていますが、雇用保険や所得制限などの条件が複雑で、フリーランスが利用できる制度を探すのは容易ではありません。

「対象者に“個人事業主”と書かれているけれど、実際は審査で落ちる」といったケースもあります。

学びたい気持ちがあっても、制度を調べる段階であきらめてしまう人も多いはずです。

フリーランスのリスキリングを支援する制度

リスキリングに関する制度は近年増えていますが、実際に内容を見ていくと「誰を対象にしているのか」「どんな条件があるのか」が制度ごとに異なります。ここでは代表的な三つの制度を紹介します。

リ・スキリング等教育訓練支援制度の概要

リスキリングを目的とした公的融資制度で、労働金庫(ろうきん)が実施しています。
学費や生活費をまかなうための資金を低金利で借りられる仕組みで、働きながらスキルアップを目指す人を支援します。

項目内容
目的教育訓練中の生活費・受講費の融資支援
対象要件雇用保険被保険者、または就業実績を証明できる人(雇用契約書・確定申告書など)
貸付利率年2〜3%前後+保証料
担保・保証人不要(保証機関の利用あり)
返済期間最長10年程度(据置期間あり)
返済方法毎月元利金等返済
対象教育機関厚労省指定の教育訓練講座(専門実践教育訓練など)

インセンティブとして、受講後に一定の成果を得た場合(資格取得・修了など)には返済額の一部が免除される措置があります。ただし、審査条件が厳しく、雇用保険未加入のフリーランスは対象外になるケースもあります。

職業訓練給付金・求職者支援訓練の仕組み

こちらは、雇用保険を通じて「働く力を再びつける」ことを目的にした給付金制度です。
失業者や再就職を目指す人が対象ですが、フリーランスでも一時的に求職登録をすることで利用できるケースもあります。

項目内容
目的再就職を目指す人への職業訓練費用・生活費支援
対象要件雇用保険の被保険者期間が通算3年以上(初回は1年以上)
貸付利率ー(給付金のため返済不要)
担保・保証人不要
返済期間
返済方法
対象教育機関公共職業訓練校、認定教育機関など

給付型のため返済の負担はありませんが、離職後1年以内に受講を開始する必要があります。

また、雇用保険加入歴が短いフリーランスや、独立して時間が経っている人は対象外になることが多い点が特徴です。

キャリアアップ支援事業の対象

経済産業省が推進する制度で、企業・個人を問わず「成長分野のスキル獲得」を支援する枠組みです。AI・IT・デジタル分野を中心に、講座や研修プログラムの整備を進めています。

項目内容
目的産業構造の変化に対応するスキル習得支援
対象要件在職者・個人事業主・中小企業など(分野指定あり)
貸付利率ー(補助金・助成型)
担保・保証人不要
返済期間
返済方法
対象教育機関経産省認定の講座・民間スクールなど

この制度の特徴は、個人だけでなく企業単位でも利用できる点です。

たとえば、事業主が講座を受けて社員や外注先に知識を広める、といった使い方も可能。
ただし、補助対象は経産省が指定する講座に限られ、汎用的な学習サービス(Udemyなど)は対象外です。

対象外?! フリーランスなのに支援を利用できない理由

制度のページを見ると「フリーランスも対象」と書かれていることが多いのですが、
実際に条件を見ていくと、意外と当てはまらないことが多いんですよね。ここでは、私が調べてみて感じた壁になりやすいポイントを整理しておきます。

雇用保険の加入期間が足りない

多くの制度が前提にしているのは、雇用保険に入っていた期間です。
教育訓練給付金だと通算3年以上(初回のみ1年以上)が必要で、離職から1年を過ぎるとリセットされてしまうそうです。

長くフリーランスを続けている人は、そもそも雇用保険の対象外。私のように、昔の勤務先が社会保険未加入だった場合は加入履歴もあいまいで、調べても書類が出てこないこともあります。

過去の雇用契約書や源泉徴収票が残っていれば証明できるケースもあるそうですが、何十年も前のものを探すのは現実的じゃないですよね。

所得や就業証明が要件を満たしていない

補助金や給付金には、世帯の収入制限がついているものがあります。たとえば「世帯月収30万円以下」などです。

厚労省の調査(令和5年)では、子育て世帯の平均年収が約785万円(中央値710万円)だそうなので、月収に換算すると60万円前後。つまり、この条件に当てはまる人のほうが少ない印象です。

世帯全体で見ると支援対象から外れてしまう場合もあって、「安定しているように見える」だけで制度の枠から外れることも。関東のように生活費が高い地域では、余裕があるというよりギリギリの安定という人も多いはずです。

融資制度の場合はまた別で、返済能力を確認するために確定申告書などの提出を求められます。フリーランスだと収入の波が大きく、審査が通りにくいこともあります。

ろうきんの融資では、配偶者がいる場合に勤務先や所得証明の提出を求められることもあるそうで、個人で働く身としては、そこまで家計を見られるのは少し抵抗がありますね。

雇用を選ばずフリーランスを続けたい人もいる

そもそも多くの制度は「再就職」や「雇用の安定」を目的につくられています。だから、いまの働き方を続けたいフリーランスは、どうしても対象になりにくいんですよね。

スキルを磨いて今の仕事を続けることも立派なリスキリングの形だと思うのですが、
制度の多くは働き方を変える人向けです。「退職」「再就職」「職業訓練」という流れのなかにいないと、申請そのものが想定されていないことが多いんです。

実際、制度を調べてみると申請書類も多く、要件も複雑。雇用保険の加入証明、世帯所得、就業証明、講座指定の確認……と、準備だけで心が折れそうになります。

働きながら進めようとすると時間も手間もかかり、「これなら自分で学んだほうが早いかも」と思ってしまう人も多いはず。

フリーランスがリスキリング支援を受けずに学ぶ方法

制度を調べてみると、条件の多さや手続きの煩雑さに圧倒されることがあります。
それでも学びたい気持ちがあるなら、制度に頼らず「できる範囲で学ぶ方法」を考えるのも現実的です。ここでは、実際にフリーランスが自力でスキルを伸ばすためのいくつかの方法を整理します。

無料講座や民間プログラムを活用する

オンライン講座や企業が提供する無料プログラムを利用する方法です。
最近は、民間企業や自治体が共同で運営する「デジタルスキル講座」なども多く、
無料でも十分実務に役立つ内容がそろっています。

特におすすめなのは、Google、Microsoft、Schoo、Udemyなどが提供している入門講座。
基礎的なスキルを短期間で学べるだけでなく、AI・データ・マーケティングなど
今後のフリーランス業務に直結するテーマも多いです。

制度を利用できなくても、「学び直し」の入り口は意外と身近なところにあります。
まずは費用をかけずに始めて、方向性をつかむことが大切です。

すき間時間を活用した学習習慣をつくる

フリーランスは、忙しさの波に左右されやすい働き方です。

だからこそ「まとまった時間を取る」よりも、「すき間時間を積み重ねる」発想が合っています。

10分単位でも、動画講座を1本見たり、用語を1つ調べたりする。この“細切れ学習”の積み重ねが、最終的に大きな変化になります。

学びの時間を「特別なもの」にしすぎず、以下のようなすき間時間を活用してみるのもおすすめです。

  • 朝のコーヒー前に1トピック
  • 納品後の5分でメモをまとめる

生活のなかで習慣化しておくと継続しやすくなります。

スキルを伸ばせる案件に挑戦して実践から学ぶ

リスキリングの本質は、「知識を増やす」ことだけではありません。学んだスキルを実務に活かすことが、スキルアップへの最短ルートです。

フリーランスとしては、実務経験を通じて学びを深めることができる最大の強みでもありますが、最初から全てを完璧にこなすことは難しいかもしれませんが、挑戦する案件で自分がどのように貢献できるかを意識することが大切です。

スキルの伸びしろだけでなく、クライアントにとって必要な付加価値を提供することが求められます。自分が今持っているスキルを最大限に活かし、さらに学びを加えていくことで、
クライアントからの信頼も得やすくなり、次の案件へとつながっていきます。

実践を通じて学んだことは、教科書やオンライン講座で得た知識とは比べものにならないほど、深い理解として身につきます。どんな案件にもチャレンジし、その中で得られる経験を次に生かしていくことが、最も効率的なリスキリングの方法です。

小規模企業共済の貸付制度を知っておく

融資や補助金の代わりに、フリーランス自身が使える低金利の資金制度として知っておきたいのが、中小機構が運営する「小規模企業共済」です。

積み立てをしながら、必要なときに自分の掛金をもとに資金を借りられる仕組みで、
教育費や事業費としても利用できます。

項目内容
目的積立金を担保に、事業・生活・教育などに必要な資金を低金利で貸付
対象要件共済加入1年以上の個人事業主・小規模法人役員など
貸付利率年1.5%前後(固定)
担保・保証人不要(共済契約が担保)
返済期間最長12年(制度により異なる)
返済方法毎月元利均等返済
対象教育機関制限なし(使途自由。教育費にも利用可)

公的融資よりもシンプルで、加入していれば即日融資が可能な点も特徴です。しかも利率はリスキリング融資(2〜3%)より低く、審査も共済加入実績がベース。

ただし、あくまで“自分の積立をもとに借りる仕組みなので、借入可能額は掛金の範囲内になります。

「制度の外にいる人」が現実的に利用できる選択肢として、フリーランスにはこの制度のほうがしっくりくるかもしれません。

リスキリングで知識をアップデートし、自分の働き方を整えよう

リスキリングを通じて新しいスキルを学ぶことは、フリーランスにとって大きな武器になります。でも、最も大事なのは「学び続ける習慣を作ること」です。

学ぶ方法は、オンライン講座や隙間時間を使うなど、身近にできることがたくさんあります。

支援制度に頼れないこともありますが、小さな一歩を積み重ねることが大事。自分のペースで学びを続けることが、結果的に大きな成長につながります。

少しずつ、無理なく学んでいけば、自分の働き方も整っていきますよ!

フリーランス向けのリスキリング支援ってあるの?

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