文章を書く力は、思っている以上に多くの仕事で活かせるスキルです。情報を整理し、相手に伝えるという点では、どんな仕事にも共通する要素があります。
AIが進化した今でも、人の言葉で伝えることには変わらない価値があるのではないでしょうか。この記事では、書くスキルを活かせる仕事や、これからの時代に求められる力について考えてみます。
書くスキルを活かせる仕事
「書くスキル」は、ライター以外でもさまざまな仕事で活かせます。資料を作る、提案を考える、人に説明するなど、どれも言葉を使って考えを整理し、伝わる形に仕上げるという点で共通しています。ここでは、実際にどんな仕事で「書く力」が役立つのかを紹介します。
資料作り・プレゼン
この仕事では、情報を整理し、誰が見ても理解できる形に組み立てる力が求められます。
いわば、文章の構成力をそのまま資料の流れづくりに応用するイメージです。
こういう人に向いていそうです。
- 資料を作るのが好き、レイアウトや構成を考えるのが得意
- 伝えたい相手の理解を想定しながら話を組み立てられる
- 見せ方を工夫して「わかりやすさ」を追求するのが好き
たとえば報告書や企画提案のスライドを作るとき、文章を書くスキルはそのまま説得力のある資料づくりにつながります。書くことに慣れている人ほど、情報の流れを自然に整理できるのです。
このスキルが活かせる仕事・職種は以下のようなものがありますね。
- 企画職
- 営業企画・営業サポート職
- 広報・PR担当
- Webライター、ディレクター職
資料作成の仕事は在宅勤務が可能な求人も多くみかけます。クラウドソーシングにも募集がありますね。
営業活動
営業は言葉で信頼を築く仕事でもあります。提案やプレゼンの場では、相手が求めていることを言語化する力が重要です。
以下のような人は営業職としても活躍できそうです。
- 相手の立場や状況を想像して考えるのが得意
- メールや提案文などで、短く的確に伝えられる
- 話すより書いて整理する方が自分に合っている
営業活動で書くスキルが活かせるのは、営業メールや商談メモなど、限られた文章で要点を伝える場面です。ライターの仕事では共感力のある文章が求められることが多いので、商談相手との信頼関係を築くことにもつながるはずです。
求人を探すときは以下のような職種で探すと見つかります。
- 法人営業、企画営業、コンサルティング営業
- カスタマーサクセス、セールスライター
- インサイドセールス
とくにインサイドセールスはメールの文面作成やトークスクリプトの作成に書くスキルが役立つのかなと思います。
マーケティング・ディレクション
マーケティングの現場でも「書く力」を活かすことができます。読んだ相手が行動したくなる言葉選びや情報整理がライターの仕事と重なる部分が多いなと感じます。
- データや結果を分析して、次の展開を考えるのが好き
- 「誰に・何を・どう伝えるか」を考えるのが得意
- 言葉やデザイン、ユーザー心理に興味がある
マーケティングやディレクションで書くスキルが活かされるのは、キャンペーンの構成や広告コピーの設計などがあげられます。「伝わる仕組み」を考えるときにライティング思考が役立つでしょう。
具体的には以下の職種で活かすことができそうです。
- Webマーケター、コンテンツディレクター
- SNS運用担当、広告プランナー
- 広報・PR担当
書くスキルだけではなく、データ解析ツールに関する知識をもっているとフルリモートで働くこともできそうです。
教育・研修・マニュアル作成
人に教える仕事は、わかりやすく伝えるスキルが必要とされますね。相手がどのくらい理解しているのかを想定して説明を組み立てていく点が、ライターの仕事との共通点です。
- 人に説明するのが得意、伝わった瞬間がうれしい
- 情報を整理して、順序立てて話すのが好き
- 専門知識をかみ砕いて説明するのが得意
たとえば、社内マニュアルや研修資料の作成など、「理解のしやすさ」を重視する現場で文章力を活かすことができるでしょう。ライター経験のある人は、説明の流れを自然に設計できるはずです。
挑戦してみたいなら、以下の職種で探すと良さそうです。
- 研修講師、社員教育
- キャリアカウンセラー
- Webコンテンツの制作・編集業務
- 教材制作
環境が整っていれば在宅勤務・フルリモート勤務が可能な求人が見つかります。
書く仕事の種類と向いている人
「書く仕事」と一口に言っても、求められる力や得意分野はさまざまです。たとえば「情報を整理して伝える仕事」と「感情や世界観を表現する仕事」に分けられるのではないでしょうか。この2つのタイプについて紹介します。
情報を整理して書く仕事
情報を集め、構成し、読み手に伝わる形に整えるタイプの仕事です。いわば「言葉の設計」をするようなイメージに近いかもしれません。構造を考えるのが好きな人に向いていそうです。
| 職種 | 概要 |
|---|---|
| Webライター | 情報を調べて整理してまとめる |
| コピーライター | 短い言葉で印象をつくる |
| テクニカルライター | 専門知識をわかりやすく説明する |
| 広報・PRライター | 企業やサービスの魅力を伝える |
「調べることが好き」「情報をわかりやすく並べるのが得意」と感じる人は、このタイプの仕事が合うかもしれません。たとえば、Webメディアの記事制作や企業のオウンドメディア運用、PR記事の執筆などがあります。
どちらかというと「正確に、わかりやすく伝えたい」という意識が強い人にしっくりくる印象です。
求人サイトでは「ライター」や「広報・PR」「編集」「コンテンツ制作」などのキーワードで探すと見つけやすいです。在宅案件も多いです。
h3:創造を文章にして書く仕
こちらは、感情や物語などを自分の言葉で描くタイプの仕事です。伝えるよりも、「感じたことをどう表現するか」に重きが置かれます。自分の感性や世界観を表現するのが好きな人に向いていそうです。
| 職種 | 概要 |
|---|---|
| 作家・小説家 | 感情や物語を構築する |
| 脚本家・シナリオライター | 登場人物を通して世界を描く |
| エッセイスト・コラムニスト | 体験や考えを言葉にする |
| 書道家 | 文字そのもので表現する |
このタイプの仕事は、表現や想像の幅を広げたい人にぴったりだと思います。創作活動や発信を続けていくうちに、編集やシナリオ、広告コピーなどへ広がるケースもあります。
求人サイトでは「シナリオライター」や「脚本」「コンテンツ制作」などで検索すると見つけやすいです。ブログやnoteなど自分の創造を表現できる場所をもつことも、仕事につながるきっかけになります。
かんたんにまとめると、「情報を整理するタイプ」は論理を軸に文章を組み立てる人。
「創造を形にするタイプ」は、感情や感覚を手がかりに言葉を紡ぐ人です。
どちらの感覚も、書きつづけるうちに少しずつ育っていくもの。自分がどのような「書く仕事」に心地よさを感じるのかを追いかけていくことで、長く続けるためのヒントが見えてくるはずです。
文章を書く仕事で身についた考え方
書く仕事を続けていると、少しずつ「考え方の癖」や「物の見え方」が変わってきます。
ここでは、私自身が文章を書く仕事を通して身についたと感じていることを紹介します。
情報を整理できるようになった
文章を書くには、まず頭の中の情報を並べ替える必要があります。その過程で、何が本質で何が補足なのかを自然に見極められるようになりました。
書くことで「考えを整える練習」をくり返すことができるんです。気づけば、日常の会話やメモでも、伝えたい順番を意識するようになっていました。
読む人の気持ちを考えるようになった
誰かに読んでもらうことを前提に書いていると、相手の立場や理解度を自然に想像するようになります。
以前は「うまく書こう」と思っていましたが、今は「相手がどうすれば理解しやすいか」を考えるようになりました。読者の心の動線を意識することで、伝えたい内容を届けられるのでは?と考えています。
短い言葉から意図をくみ取れるようになった
クライアントや編集者からの短いメッセージにも、「この言葉の裏にどんな意図があるのか」を考えるようになりました。
一文のなかに込められたニュアンスを読み取る力というのは、文章を書く側であり続けたからこそ培われた感覚だと思います。相手の意図をくみ取る力は、文章以外の仕事でも確実に役立ちます。
たまに深読みしすぎて空回りすることもありますが、それもまた練習のひとつ。言葉をあつかう仕事をしている限り、その感覚はずっと磨かれつづける気がします。
AI時代に「書く仕事」で求められるスキルとは?
生成AIの登場で、文章を作るスピードは格段に上がりました。構成を考えたり、下書きを作ったりと、これまで人が時間をかけていた作業の多くをAIがこなせるようになっています。
それでも、書く仕事の根っこにある「考える」「伝える」という部分は、人が担うところだと感じています。これからの「書く仕事」で求められるスキルとは何かを考えてみました。
AIを活かしたリサーチスキル
AIが登場してから、情報を調べるスピードは格段に上がりました。けれど、リサーチで本当に大切なのは、情報を集めることではなく整理して理解することだと思います。
AIは膨大な資料をまとめるのが得意ですが、そのなかから「何を深掘りするか」「どの情報を信頼するか」を判断するのは人間の役割です。
たくさんの情報の中から必要な部分を掘り下げていくには、ある程度の専門知識や、情報を絞り込むための明確なプロンプトを作成し、自分の視点でまとめなおすことがこれからのリサーチ力に求められるのかもしれません。
文章の質を見極める読解力
AIが作る文章は整って見えますが、読んでみると「なんか物足りないな〜」と感じることがあります。それは、文の形が正しくても、意味の深さや温度が抜けているからかもしれません。
だからこそ、これからの書き手には「どんな言葉が残るのか」を感じ取る力が必要だと思います。AIが整えた文章をそのまま使うのではなく、自分で良し悪しを判断していくことを積み重ねていくことで、自分の書くスキルを育ててくれるような気がします。
AIとのコミュニケーション力
ChatGPTに人生相談する人もいるようですね。こちらが言葉を投げかければ答えてくれる頼もしい存在です。でも、どう聞くか、どう返すかによって、その答えの質はまったく変わります。
目的を言語化して「こういうニュアンスで伝えたい」と伝えること。つまり、AIに対しても人と話すように会話を設計する力が大切だと思っています。
自分の考えを明確に伝える練習相手として考えると、AIとのやり取りも書くことの延長線に感じられます。
文脈を感じ取り自分の言葉で伝える力
AIは多くの情報を扱えますが、状況や空気の流れを理解するのはまだ苦手です。そのため、質問の仕方によっては、なんとも微妙な答えを返してくることもあります。そうしたズレをくみ取り、言葉を選び直せるのは人間だけだと思います。
たとえば「大丈夫」という言葉は励ましにも慰めにも、あるいは距離を取る意味にも変化します。その違いを察しながら、最適な言葉を選んで表現することが大切です。
ただ、AIも日々進化しており、人の発想を超えるような創造的なアウトプットを見せることも増えてきましたよね。
だからこそ、ライバル視するよりも、協働できるパートナーとして使いこなす。それが、これからの書く仕事の自然なかたちになるのかもしれません。
文章を書くスキルはあらゆる仕事のベースになる
どんな時代でも、「書く仕事」の本質は変わらないと思います。それは、言葉を通して考えを整理し、人に伝えることはAIが進化しても、この「伝える」という行為の核は人にしか担えないはずです。
文章を書くスキルは、企画書や営業資料を作るときも、メールを送るときも活きます。
相手の立場を考えながら言葉を選ぶといった積み重ねが、どんな仕事の成果にもつながっていくはず。
AIが整えた文章も増えていますが、結局のところ、そのベースとなるのは人の思考や感情です。だからこそ、書く仕事を続けることは、自分の考える力を鍛えることでもあります。
文章を書く力があれば、どんな職種にいても自分の意見を形にできます。そして、それを伝えることができる人が、これからの時代に強いのかなって思います。
これからの時代、自分の考えを形にできる人が強いんでしょうね。私もライターとして精進します!
